新聞報道

    

搾油前のツバキ種子熱処理の違いによるつばき油の特性

2017年(平成29年)9月17日

五島には多くのツバキの搾油所があり、つばき油の産地となっている。つばき油は搾油所ごとに製法が違い、香りや色、べたつき感などが異なる。消費者がつばき油を買うたびに商品の違いが感じるのはこのためで、県農林技術開発センターでは、長崎大、県立大、県工業技術センターとともに原因や特性を明らかにするための研究を実施した。

研究の結果、搾油する前の種子を熱処理するときの条件の違いがつばき油の特性を決める大きな要因であることが分かった。だが食用油としての特性を特徴付けるリノール酸やオレイン酸などの脂肪酸組成は、熱処理の違いによって変わらなかった。

また、種子をいる温度が高くなるにつれて油の臭気が強くなる一方、ポリフェノールの一種であるケンフェロールが増加し、カロチノイドは蒸すことやいることで生絞りに比べて大きく増加することが分った。

これらの結果は、スキンケアや加工食品といった使用目的に応じた特性の油を搾油するための重要な情報となりうると考えられる。研究の成果を活用し、生産者や販売者が自主的に分類表示をするなどの取り組みを促進していきたい。






         いり温度の違いによるつばき油香気寄与率の変化





(森林研究部門 部門長 田嶋幸一)