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病害虫に強く収益向上期待 バレイショ新品種「アイマサリ」を開発

2017年(平成29年)12月3日

バレイショは南米アンデス地方原産で、ジャガタラ(現在のジャカルタ)を経由して伝わったことが「じゃがいも」と呼ばれる由来ともいわれる。伝来の地である本県の生産量は北海道に次ぐ全国2位で、全国に向けて出荷している。

本県で栽培されている主要品種は「ニシユタカ」「デジマ」「メークイン」。この3品種で栽培面積の9割を占める。しかし、いずれも病害虫である「ジャガイモシストセンチュウ」や「ジャガイモYウイルス」に対する抵抗性がないため、生産現場では病虫害による収穫量の減少、品質低下が問題となっている。

県農林技術開発センターでは、これらの主要品種の欠点を補う新品種「アイマサリ」を開発。9月に品種登録出願公表をした。

アイマサリは「ニシユタカ」と比べると、収量が多く、1個当たりの平均重量も重い。食感に関係するでん粉価はニシユタカ並みだが、食味はよく、ポテトサラダに使用すると滑らかな食感と色合いが得られるため、高く評価されている。目が浅く、皮がツルンと滑らかで外観も優れている。

ジャガイモシストセンチュウとジャガイモYウイルスに対する抵抗性を持つことから、収量の向上や農薬費の削減効果に加え、環境にも配慮した減農薬栽培もでき、生産者の収益向上が期待できる品種である。



 「アイマサリ」の特性
品種名 春作マルチ栽培 秋作普通栽培 病害虫抵抗性2) いもの表面 食味3)
収量 1個
でん
粉価
収量 1個
でん
粉価
PCN PVY 目の
深浅
滑ら
かさ
(kg/a) (g) (%) (kg/a) (g) (%)
アイマサリ 406 133 11.3 354 137 9.4 抵抗性 抵抗性 やや滑
ニシユタカ 379 125 10.9 268 109 9.6 感受性 感受性 やや浅 やや不良
注1)2010~2016年の平均値
注2)PCN:ジャガイモシストセンチュウ、PVY:ジャガイモYウイルス
注3)食味は「デジマ」を「やや良」とする相対評価







               アイマサリ(左)とニシユタカ








(農産園芸研究部門 馬鈴薯研究室 主任研究員 坂本悠)