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適切な田植え時期を区分 水稲主要品種の栽培適地マップ

2018年(平成30年)2月18日

高品質な米の安定生産には、気象条件に合った品種を適切な時期に植え付けることが基本とされる。だが近年、温暖化などの気候変動で品種の選択、田植え時期といった判断が難しくなっている。1989年に県の奨励品種となり、県内全域に作付けが広がった「ヒノヒカリ」は、夏の高温で障害を受け、品質が低下する年が県南県央の平たん地を中心に増えた。

そのため、2005年ごろから高温に強い品種への転換が進められている。本県における代表格の「にこまる」は高温傾向の年が続く中で順調に作付けが増えてきたが、低温傾向となった14年、15年は一部で実の充実していない米が見られた。低温傾向の年であっても穂が出てから米粒が発達する期間の平均気温を十分に確保するため、田植え時期を適正なタイミングから遅らせないことが課題として再認識されている。

こうした状況を踏まえ、県はJAグループと連携して「にこまる」と「ヒノヒカリ」の栽培適地マップを作製した。面積約1平方キロメートルのメッシュに区分し、過去の平均気温や日の長さのデータ、品種ごとの生育の進み方を表す「生育予測式」を使って、品質低下のリスクが低い適切な田植え時期を計算。色分けして視覚化した。

適地マップは、田植え時期の是正、高温に強い品種への転換など、高品質な米の安定生産にむけた地域ぐるみの取り組みに役立つと考えられる。今後、ほかの品種や水稲以外の作物についても必要性の高いものから適地マップを作製する。







                      「にこまる」の栽培適地マップ








(研究企画部門 研究企画室 専門研究員 土井謙児)