高機能発酵茶の開発

「茶葉」と「ビワ葉」を原料として世界初の製造法により今までにないお茶を開発しました。
 この「高機能発酵茶(開発名称)」は紅茶風の水色で、香り高く渋みが少ない後味のさっぱりとした茶です。



(注意)画面でご覧になる画像の色は、実際の色と全く同じではありません。

1.開発のねらい

食生活の変化などにより、簡単に飲めるペットボトル茶の消費は拡大していますが、従来の急須に入れて湯を注ぐ茶葉(リーフ茶)の需要はかえって落ち込んでいます。また、ペットボトル用の原料茶は低価格で取引され、市場価格の下落を招いています。  特に、6月から8月にかけて作る二番茶、三番茶は、渋みが強く、近年価格の下落が著しい状況にあります。しかし、様々な保健作用が発表されているカテキンを多く含んでいます。そこで、カテキンを活用し、保健機能を強化した製品を開発できないかと考えました。  また、長崎県はビワの産地であり、現在も葉は健康茶として飲まれていますが、利用は多くはありません。そこで、この利用が少ないビワ葉の活用も合わせて考えました。

2.開発の経過

平成14年に三番茶の価格が特に大きく下がったことから、三番茶の利用法として検討を開始しました。  平成15年に工業技術センターとの共同で、「茶葉」と「ビワ葉」の混合発酵物に消化を抑える強い作用があることが分かり、「高機能発酵茶」として研究を開始しました。  平成17年から、県と長崎県立大学、長崎大学、九州大学との連携プロジェクト研究で、「高機能発酵茶」の各種機能性の探索とその関与物質の解明および商品化に向けた研究を進めています。

3.主要特性と成果

・「高機能発酵茶」は生の茶葉とビワ葉を混合、揉捻して発酵させたお茶で、別々に製造された乾物状態のものをブレンドした混合茶とは
  異なるものです。
・「高機能発酵茶」は同一原料で製造した単体の「緑茶」「紅茶」「ビワの葉茶」よりも機能性が高くなりました。
・ラットやヒトでの臨床試験によって研究している「高機能発酵茶」の機能性は以下のものです。  
   ・血糖値低下作用  
   ・体脂肪低下作用  
   ・コレステロール低下作用   
   ・中性脂肪低下作用  
   ・血圧低下作用  
   ・抗酸化作用

・製法および成分特許として以下のものを出願中です。また一部は国際特許としても出願しています。
   ・茶の原料葉とビワ葉の揉捻加工による発酵茶及び発酵茶に含有される抽出物を有効成分とする組成物  
   ・発酵茶  
   ・血糖値上昇抑制用組成物およびこれを含有する飲食品  
   ・発酵茶葉、発酵茶葉抽出物および飲食品  
   ・発酵茶葉、発酵茶葉抽出物、血糖値上昇抑制用組成物および飲食品
   ・中性脂肪低下作用促進剤および体脂肪抑制剤  
   ・コレステロール低減剤

以下に「高機能発酵茶」に関係する資料を掲載していますので、ご覧ください。(担当:茶業研究室)  

関連情報

・第62回日本栄養・食糧学会大会講演要旨(平成20年度 2題)PDF ・平成20年度日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部大会講演要旨(1題)PDF
・第63回日本栄養・食糧学会大会講演要旨(平成21年度 3題)PDF