バレイショ「さんじゅう丸」は2010年(平成22年)8月に品種登録出願公表されました。
品種名の由来は「病害虫に強い」、「収量が多い」、「外観が良い」の3つの優れる特徴を持つことに由来します。
写真1 「さんじゅう丸」の塊茎
写真2 そうか病汚染圃場における塊茎「ニシユタカ」(左)と「さんじゅう丸」(右)
(注意)画面でご覧になる画像の色は、実際の色と全く同じではありません。
ばれいしょ「さんじゅう丸」の育成経過と特性
1.開発のねらい
バレイショ産地では、そうか病による被害が毎年数億円と推定されるとともに、ジャガイモシストセンチュウの発生地域が拡大しています。そこで、これらの難防除病虫害に強い「さんじゅう丸」を育成しました。
2.開発の経過
「さんじゅう丸」は、多収・大いもで外観がよい「長系107号」を母、そうか病に強く、外観・食味がよい「春あかり」を父として1998年に交配し、翌年から選抜・育成した品種です。現在、品種登録出願中です。
3.主要特性と成果
- そうか病には「デジマ」「ニシユタカ」より強い抵抗性を示します。有機栽培圃場試験における、「西海30号」のそうか発生率は8%で、「ニシユタカ」の37%に比べそうか病の発生をごく低く抑えることができます(図1)。
- ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、青枯病に中程度の抵抗性を示す病虫害複合抵抗性の品種です。
- 収量は春作では「デジマ」より多く、秋作ではやや少なく、いも1個の大きさは春作・秋作ともに130g程度で大きいです。
- 塊茎(いも)の特徴は、皮の色が白黄色、形は卵形、皮はツルンと滑らかで目が浅く、外観がきれいです(写真1)。
- 肉色は淡黄色、肉質は中~やや粘質で、煮くずれしにくいため煮込み料理にも適します。でん粉含有量は「デジマ」より低いですが、食味はやや良いです。
- 栽培上の注意点は、疫病には弱く、春作では収穫時期が遅くなるといもの腐敗がみられるので、適期防除や適期収穫に心がけることが必要です。
- 2011年秋作から一般栽培が開始されます。