1994年に開発した水稲生育予測システムにその後改良を重ねてきました。
今回、近年の温暖化を反映したデータを用いて「コシヒカリ」と「ヒノヒカリ」の生育予測式を作成し、2004年に奨励品種に採用した「にこまる」と現在早期用品種として有望視している「つや姫」の生育予測式を新たに作成しました。
図 気温が1℃上昇したときの「つや姫」の適作型のイメージ (諫早市貝津町)
注)平年値は1961~1990年の平均高温回避は出穂後15日間の平均気温が28℃を越えない日
1.開発のねらい
近年、長崎県の水稲は、温暖化による登熟期の気象の変化によって、玄米に白未熟粒や充実不足が発生し、品質の低下をまねいています。
また、長崎県は南北に長く、地形の変化に富んでいることから、1994年に地点ごとのメッシュ気候値を利用した水稲生育予測システムを開発し、その後改良を重ねました。
しかし、これまでの水稲生育予測に使っている生育予測式は1994年当時のデータを使用していました。そこで、近年の温暖化に対応すべく、近年のデータを用いた生育予測式の作成をめざしました。
2.開発の経過
近年の温暖化を反映したデータを用いて「コシヒカリ」、「ヒノヒカリ」の生育予測式を作成するとともに、2004年に奨励品種に採用した「にこまる」と現在早期用品種として有望視している「つや姫」の生育予測式を作成しました。
3.主要特性と成果
- 「コシヒカリ」と「つや姫」は極早生品種で感温性が強く、温度のみの生育予測式で予測値の精度が高いため、温度のみを用いた生育予測式を採用しました。
- 「ヒノヒカリ」と「にこまる」は中生品種で感光性が強いため、温度と日長時間を用いた生育予測式を採用しました。
- この4品種について、県下全域で近年の温暖化に対応した適作型(好適出穂期、好適移植期)の推定ができるようになりました。
- この4品種の生育予測式は、県農産園芸課と共同開発の「水稲生育シミュレーション2010」で活用されています。
「水稲生育シミュレーション2010」の活用について、お近くの振興局にご相談下さい
以下に関係する資料を掲載していますので、ご覧ください。
関連情報 |
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温暖化に対応した水稲主要品種のDVR生育予測式作成(2010・普及) | スライド資料「高温に強い水稲『にこまる』の選定と栽培技術の開発」 |