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ホームコンテンツ情報Vol.228 中国 李卉(リキ)

Vol.228 中国 李卉(リキ)

天と人をつなぐ時間の知恵
中国暦と二十四節気

   皆さん、お久しぶりです。いよいよ暖かな春の気配が訪れ、私も一年間の任期を終えて、4月に日本を離れ帰国することとなりました。今回が最後のコラムになりますが、締めくくりとして「中国暦」についてご紹介したいと思います。

   中国暦は、数千年にわたり中国社会の生活・農業・思想を支えてきた伝統的な暦法です。現在では西暦(中国では「公暦」または「陽暦」)と区別するために「農暦」や「陰暦」と呼ばれることが多いのですが、正確には太陰太陽暦に分類され、月と太陽の両方の運行を基準にしています。

   その起源は非常に古く、殷・周の時代にはすでに天体観測に基づく暦が存在していたと言われています。古代中国では、暦を制定することは国家統治と深く関わり、正確な暦は王朝の正当性を示す象徴でもありました。歴代王朝は天文観測技術を発展させながら暦法を改良し、その精度を高め続けてきました。

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出典:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1720312774933066408&wfr=spider&for=pc

   計算の仕組みを簡単に言えば、月相の変化周期を基礎とし、月相の朔望ごとの変化をもって1ヵ月としつつ、太陽の回帰年を1年の長さの基準としています。また、二十四節気を取り入れ、さらに閏月を設けることによって、平均的な暦年を回帰年と適合させています。

   このような太陰太陽暦である中国暦は、季節の移り変わりや農作業の時期、動植物の変化を把握できるだけでなく、月相や潮汐などの自然現象も反映するという特徴があり、長い歴史の中で中国社会の生活文化に深く根付いてきました。

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出典:https://mbd.baidu.com/newspage/data/dtlandingsuper?nid=dt_4661599479432638370&sourceFrom=search_a

    2016年10月にユネスコ無形文化遺産に登録された「二十四節気」は、中国暦における太陽の動きを示す代表的な指標で、立春・春分・夏至・秋分・冬至など、季節の細やかな変化を刻んでいます。農事・養生・行楽・儀礼のリズムを与え、中国独自の季節文化を形作ってきました。

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   中国では二十四節気を覚えるために、「春雨驚春清谷天、夏満芒夏暑相連、秋処露秋寒霜降、冬雪雪冬小大寒」という伝統的な詩も伝わっています。

   例えば、先日過ぎた「驚蟄(けいちつ)」は二十四節気の第3番目で、気温が上昇し、冬の間土中でじっとしていた虫たち(蟄)が春雷に驚いて姿を現す(驚)頃を指します。毎年の3月5日〜6日頃(2026年は3月5日)にあたり、この時期は、本格的な春の到来を告げる節目であり、古くから農作業の開始時期を示す重要な季節の指標とされてきました。

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出典:https://mbd.baidu.com/newspage/data/dtlandingsuper?nid=dt_4440455414326185566

   また、これから迎える「春分(しゅんぶん)」は第4番目の節気で、太陽が春分点を通過し、昼夜の長さがほぼ等しくなる頃です。この頃から日照時間は次第に長くなり、寒さが和らいで自然界の活動がいっそう活発になり、気候が安定し始める節目です。毎年3月20〜21日(2026年は3月20日)頃にあたり、古くから農作業の本格化や祖先供養とも深く結びついてきました。

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出典:https://mbd.baidu.com/newspage/data/dtlandingsuper?nid=dt_4884072870920988471&sourceFrom=search_a

   二十四節気以外にも、一年で最も暑い時期を示す「三伏(さんぷく)」、冬の寒さを段階的に表す「数九(すうきゅう)」など、人々の経験から生み出された「雑節気(ざつせっき)」があります。二十四節気ほど体系的ではありませんが、地域の風土に根ざした時令として長く用いられてきました。

   現代の中国では国際社会との整合のために西暦も使用していますが、中国暦も併用されています。伝統行事の日付はもちろん、農業生産の目安としても欠かせない存在です。太陽暦の利便性を取り入れつつ、太陰太陽暦の精妙さが民間に根づいてきたことで、暦文化は生き続けていると言えます。

   中国暦の「月」の側面はわかりやすく、毎月15日は満月です。月相が一目でわかるため、潮の干満を判断する手がかりにもなり、農業生産に大いに役立ちます。そのため、8月15日が「一年で最も丸い月」という象徴性から、中秋節は「家族団らんの日」として成立しました。もし太陽暦の固定日になってしまえば、この象徴性は失われてしまいます。

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出典: https://www.sohu.com/a/941439320_121124718

   同様に、中国で最も重要視される「春節(旧正月の1日)」は毎年1月21日から2月20日の間にあり、「立春」の前後に位置します。春節を過ぎると「万象更新」、春がやってきて、すべてが新たな始まりを迎えます。また、新月から新しい年が開くという天文的更新に基づき、「月が改まる瞬間」を年の起点に据えることで、再生・更新の象徴が明確になります。

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出典:https://mbd.baidu.com/newspage/data/dtlandingsuper?nid=dt_4266170769600542138

   このように、月相・節気・気候リズムと結びつく伝統行事は、中国暦によってこそ意味を持ちます。単純に太陽暦へ置き換えてしまうと、自然との同調が失われてしまいます。

   中国暦は単なる日時記録のための道具ではなく、自然のリズムと人間の生活を調和させる知恵の結晶です。自然の微細な変化を丁寧に捉え、人と自然のつながりを重んじてきました。現代社会においても、私たちに「時間との向き合い方」を問い続けています。

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出典:https://mbd.baidu.com/newspage/data/dtlandingsuper?nid=dt_4775664000906637607

   中国には「万巻の書を読み、万里の道を歩む」や「百聞は一見に如かず」という言葉があります。実際に経験し、自分の目で見て、耳で聞いてこそ真の理解が得られるという意味です。このコラムを通じて、少しでも中国に興味を持っていただけたなら嬉しく思います。機会がございましたら、ぜひ一度中国を訪れ、ご自身の目でリアルな中国を感じてみてください。

   CIRとして長崎で勤務した一年間は、私にとってかけがえのない貴重な経験となりました。この一年間、本当にお世話になりました。心より感謝申し上げます。以上をもちまして、お別れのご挨拶とさせていただきます。

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