●会見内容●
1.TPPについて |
1.TPPについて
○広報課長 それでは、引き続き、知事の定例会見を始めさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
○知事
それでは、よろしくお願いします。
今日は、特に私の方からご報告等はございませんので、何かご質疑等ございましたら、よろしくお願いします。
○記者(西日本新聞社) 先週金曜日に安倍総理がTPPの交渉参加について表明されました。知事も談話を出しておられましたけれども、改めて農業とかの比重が大きい長崎でどういうふうに考えておられるかということを教えてください。
○知事 これまでも申し上げてきたとおり、TPPへの参加によってプラス面の影響が期待できる分野と、あるいは非常に深刻な影響が懸念される分野があると思っております。今、お話がありましたように、農業分野というのは、やはり多くの農業者の皆さん方も、安価な農産物が大量に輸入されるのではないかと、そのことによって農産物価格が低迷し、苦戦を強いられるような状況になるのではないかと、大きな不安を感じておられるのではないかと思っております。
そういった中で、自民党は先の総選挙も聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPPには参加しないと。そして、日米首脳会談の中で、やはり聖域なき関税撤廃を前提とするものではないんだという確認がとれたということで、前に進もうとされているわけでありますが、やはり私どもが一番お願いしたいと考えておりますのは、数多くの心配をされている農業者の方々、水産業者の方々がいらっしゃるわけでありますので、その都度、その都度、適正な情報を提供していただき、説明をしつつ交渉に臨んでいただきたいと考えております。
影響額等についても、試算が示されたようですが、これがどういう形で算定されているのか、まだ本県への影響額等も試算できない状況であり、今、確認作業を進めているところであります。もちろん、どういった前提で試算がなされているのかということを確認しなければならないと思いますが、これからの交渉の中で、まずは国益と地域産業を甚大なる影響からどう守っていくのかということが非常に大切な要素であろうと思いますので、すべての分野で関税撤廃されるということでないのであれば、例えば重要品目等について、関税撤廃の対象から除外をするといった思い切った施策も講じていただきたいと期待をしているところであります。
○記者(西日本新聞社) 試算についての分析というか、国に問い合わせて、長崎県としての影響額というか、それはまた改めて試算されますか。
○知事 それは、今、作業をさせているところです。試算ができ次第、皆様方にご報告をさせていただきたいと思います。
2.通年議会について
○記者(毎日新聞社) 通年議会が始まって、22日で1年目が終わるんですけれども、知事の評価を聞かせてください。
○知事
通年議会というのは、これまで知事が行っていた議会の招集を、いつでも議会の意向で開催できるようにということで、年間を通して議会開会中という形での取組が始まったわけでありますが、このことと議会改革、県政改革の流れの中で、非常に議会日程が長くなったなという感じがいたします。
本会議の日程はさほど影響ないのだろうと思いますが、委員会日程が長くなったなという思いもあります。各部局それぞれ政策課題を抱えて仕事をやっておりますので、できるだけ日程短縮等について、できれば再検討をいただいて、合理的な審査体制を組んでいただければありがたいと思っています。
ただ、他方さまざまな課題について集中審議というようなこともやっていただいており、一長一短はあるのではないかと思っています。
○記者(西日本新聞社) 委員会日程を来年度ですかね、少し短くして6日間にするみたいですけれども、それはどう評価されますか。
○知事 それはありがたいと思っております。委員会も常任委員会の数が減りましたので(※注:平成21年に、6つの委員会が4つに再編されました)、審議の守備範囲が広くなり、しかるべき日程が必要になってくることは十分理解できるところであります。これまでは全体として10日間ぐらいの日程が、短縮に向けて協議がなされているというお話も聞いており、ありがたいと思っております。
3.対馬市における文化財盗難事件について
○記者(NHK) 韓国と対馬の仏像の関連の問題ですが、先日、対馬の方に韓国から僧侶も来られましたけど、どんなふうに受け止められますか。
○知事
そうですね、盗難品であるということを考えると、やはり地域の方がおっしゃっておられるように、まずは返していただきたいというのが関係者の全ての皆様方の思いではなかろうかと思っているところであります。
返還差し止めの仮処分がなされたということでありますが、そういう取り扱いが通用するということであれば、全ての分野に影響が広がってくるのではないかと思います。
○記者(NHK) かなり難しい問題ではあると思うんですけど、県としてちょっと、こういうことを一緒に対馬とアピールとしたいとか、そういうことはありますか。
○知事 それはやはり国の問題だと思うんですよ。国対国の取り扱いですので、そこは国の方でしっかり対応していただきたいと思います。
○記者(NHK) しっかり対応というのは、返ってくるようにということですか。
○知事 もちろんそうです。
4.新日中友好21世紀委員会について
○記者(毎日新聞社) (新日中友好)21世紀委員会は、どうなっているんでしょうか。
○知事
(昨年)11月ぐらいに開催ということで、我々も準備を進めていたところでありましたが、延期というお話で今日に至っているわけであります。まだまだこの先が読めないというような状況にあります。
もともと長崎として、中国との関係は非常に長年にわたる密接な交流関係が築かれてきたということで、私の方からお願いをして長崎開催を実現していただく予定だったのですが、日中関係が今のような状況になって、できるだけ早く両国関係が改善をされて、開催できるように(国に)環境整備をお願いしたいと思っています。
5.県議会の特別委員会について
○広報課長 ほかにございませんか。
○記者(長崎新聞社) 県議会が、新年度、防衛産業振興特別委員会なるものを、仮称なんでしょうけど、つくるということを議運(議会運営委員会)で申し合わせたと思うんですけど、どう受け止めていらっしゃいますか。
○知事
防衛というと、地方自治の話ではなくて国の仕事になりますので、どういった考え方、議会活動を考えておられるのかよくわかりませんが、県としてもどういう分野での対応が求められるのか、ちょっとまだ私自身、考え方の整理がついておりません。
まずはやはり県政の諸課題について、ご議論の場等を設けていただければありがたいと思っています。
守備範囲が防衛ということであれば、それはもうまさに国の専管事項に関わる話でありますので、一地方自治体としてはなかなか難しいのではないかと思っています。
○記者(長崎新聞社) 佐世保市が潜水艦部隊を誘致したいとかということに対して、たしか2年前ぐらいに、県としても応援したいみたいなことをおっしゃったみたいですけど、振興ということ自体は、以前と比べると抵抗がなくなってきたのかなという感じですけど。
○知事 基地が地域の経済にどのような役割を果たしているのか、そういった中で地域経済の活性化等の観点から必要な防衛関係の部隊、あるいは産業の立地について要望の動きがあるというのはこれまでもありましたし、我々も関係先に対しては一緒に要望活動も行ってきた経過がありますので、そういった面であれば我々も対応できる部分はあるだろうと思います。
○記者(長崎新聞社) 被爆県というのもありますよね。そこら辺の足かせと言ったら言葉に語弊がありますけれども、双方に配慮しないといけないなというのもあるんですか、県としては。
○知事 被爆県だから防衛に関係ないかというと、そういうことはないと思うんですよね。防衛というのはやはり、国をしっかり守らなければならないという、そのために必要な対策、体制はどうなのかといった観点での議論が防衛問題なのだろうと思いますので、それと被爆県というのはまた別の観点もあるのではないかと思います。平和であるとか、核の問題であるとかですね。
○記者(長崎新聞社) 核兵器をつくるのをもってこいということは多分言わないと思うんですけれども、そういった軍事産業とかを誘致してくるとか、軍備増強を求める声に対して、そういった被爆団体の方とかが当然抵抗すると思うんですよね。特に長崎市内に住んでいらっしゃる方々はですね。
○知事 それぞれの地域ごとに防衛関係、組織との関わり方、あるいはこれまでの経緯等違うものがありますので、一概に県全体としてこうだと一つの方向性をもっていくというのは、なかなか難しい面が出てくるのだろうと思います。
6.世界遺産の登録推進について
○記者(読売新聞社) 世界遺産の関係ですけれども、先日、下村文部科学大臣が来られて、世界遺産について、教会群ですけど、最有力であるということでおっしゃっていました。その一方で、近代化遺産との調整についても、優劣の関係も含めて必要ではないかという話をされていたんですが、そのあたりについては知事はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○知事
既に、長崎の教会群とキリスト教関連遺産については、推薦書原案を1月22日に提出させていただいております。
一方、(九州・山口の)近代化産業遺産群の方も、構成資産を抱える地方自治体の一つとして、粛々と準備作業に力を合わせて取り組んでいるところであります。
ただ、本県の場合の(近代化産業遺産群の)構成資産というのは非常に重要な部分を占めるというお話がございます。その中に稼動資産を含んでおり、これを将来にわたってどう保存、管理していくのかということが、企業の将来にわたる経営活動を縛り(制限し)かねない要素まであるわけですので、そこら辺の調整をどうやってつけていくのかというのが難しい課題としてあるわけであります。内閣官房、県、市、(三菱)重工さんで、その辺は協議の場をこれからも持って、すり合わせをしなければならないと思っています。
この近代化産業遺産群も、平成27年の登録を目指すということで頑張っておられ、なかなか痛し痒しというんでしょうか、長崎は両方とも関わっておりますので、そこら辺の調整が、難しい話にならないようにしなければならないと思っています。
○記者(読売新聞社) 以前からキリスト教(関連遺産登録)の方が先だというお考えだったと思うんですけれども、そのあたりの考え方は変わっていないですよね。
○知事 国からユネスコに推薦していただくのは、昔は2件だったんですね。昨年の文化審議会に提出をさせていただいたんですが、これが去年から1件に絞られたということで、1年遅れる形になったわけであります。やはり先行して取り組んできている経過もありますし、全体としての熟度を本県だけの立場から考えますと、一応もう教会群の方は普遍的な価値の整理、各構成資産の保存管理計画、そういったものも取りまとめて提出をさせていただきました。
ただ、近代化産業遺産群は、先ほど申し上げたようなさまざまな調整を要する事項、これも急いで整備を進めていかなければならないというのは十分認識しておりますが、熟度の具合からいうと、教会群の方が先行しておりますし、これまでも教会群を先行させてという思いはありましたので、できればそういう形で進めていければと考えております。
7.対馬市における文化財盗難事件について
○記者(読売新聞社) さっきの仏像の関係でちょっとお尋ねなんですけれども、県は韓国事務所をつくったりとか、これから韓国との友好関係を積極的に進めていこうとする中で、まさに長崎の住民と韓国の、仏教同士とはいえ、官房長官がコメントを出すような事態になっていて、新たな国際問題とまではいかないのかもしれないけれども、火種になりつつあるのかなという認識を持っているんです。知事は、「国の問題」とさっきおっしゃっていたんですけれども、例えば、積極的に、まさに韓国と長崎の関係がというのであれば、仲介の労をとるような動きというのもあるのかなと思っていますが、その点はどうですか。
○知事
相手方は裁判所の仮処分が出ているんでしょう。例えば、お話し合いで解決できるような要素があれば、県としてもそれは努力していきたいと思います。ただ、どれくらい前の話なのかわかりませんが、どういった経緯をもって韓国の仏像が対馬の方に渡って、それを大切に対馬のお寺で保存、管理してこられたのか、経緯がわからないですよね。
したがって、(もともと韓国にあった仏像が日本に)盗まれた可能性があるということらしいんですが、仮にそういうお話をなさるならば、世界の文化財がすべてそういうことになりかねません。
○記者(NHK) すべてそうなりかねないというのはどういうことですか。
○知事 いろんなところに、いろんな国の文化財というのが保存されているじゃないですか。それを1品ずつ、これはどういう経緯なんだと証明して、もとの国に返せという話が通用するかどうか、なのだろうと思うんです。そこはやはり国際間の一般的な考え方というのがあるのだろうと思います。
○広報課長 ほかにございませんでしょうか。
特になければ、以上で定例記者会見を閉じさせていただきます。
○知事 どうもありがとうございました。